60代からの英語学習

イソップと聞いて、なんだか遠い昔に読んだ記憶があることでしょう。クオレとか懐かしいですね。この歳になってイソップを読んでみると、なかなか含蓄があります。
調べてみると、イソップという人は、紀元前の古代ギリシャの寓話(ぐうわ)作家だそうです。寓話とはいわゆる寓話で、たとえ話とか、つくり話とか、ありそうな事や伝説などを指します。そしてそれは何らかの教訓を含んでいます。教えが説かれているのですね。
イソップはAesopと書かれてあって、これは日本語で表すとアイソーポスとなるそうです。なんでイソップと呼ばれるようになったのか、いきさつは存じませんが、なんしかアイソーポスがイソップなのです。
イソップはいろいろな動物を登場させています。これは人のふりを動物に演じさせているのです。比喩的な表現です。
英語版での本では、一つひとつの物語の最後に、ちょろっと訓話が書かれています。当時の専制君主の世の中では、風刺がこうした形式でしか表現できなかったのかもしれません。
そのイソップ物語は膨大な数にのぼります。短い話ばかりです。
アラシックス、60代からの英語学習として、辞書を片手に訳していきましょう。今回使う辞書はSHARPの電子辞書edictionaryに搭載のジーニアス英和辞典です。
まずは簡単で短くて筋が推測しやすい「THE FLY AND THE MOTH」です。

THE FLY AND THE MOTH flyはハエという意味があります。それは不潔であるとか、あざむきなどの象徴です。the fly で、ハエとmothです。mothはモースで、蛾(ガ)のことです。ゴジラシリーズにモスラって出てきますよね。余談でした。これはつまり、「ハエと蛾」という題名です。
物語の始まりです。
A fly alighted one evening upon a pot of honey, and finding it very much to his taste, began to eat it along the edges.
ここまでを読み解きましょう。 alightedは動詞でalightはアライトで辞書を引いてみましょう。すると「降りる」とあります。旅が終わって乗り物から降りるという意味を表しています。他に鳥などがどこどこに降りて止まるという意味があります。
A flyですから一匹のハエ、降りた、ある夕方uponはもとのonの強意用法で、up.onですから蜂蜜のa pot の上に。要するにはちみつの入っているポット(壺でもなんでもよいけど)の上に止まった、というのですね。
次は and finding it very much to his taste, ですが、findingは見つけたこと、発見とか、調べてみて明らかになっとことなどの意味で、findingはas he found ということになります。his taste彼のは、ハエのですね、味がわかる、味を感じる、とてもハエの好きな味、大変好みの味、自分の口にあった味とでもしましょうか。
began to eat it along the edges. それを食べ始めた。alongは何々に沿ってとか何々づたいに、とかの意味なので、ポットの縁に沿って、はちみつを舐め始めたということになります。
このあとどうなるかといえば、どんどんはちみつ入りの瓶のなかへ、舐めながら入り込んでいくのです。そしてついに自分の羽や脚がはちみつに浸かってしまうのです。ネトネトになってしまったのです。
想像したらわかりますよね。身動きが取れなくなってしまったのです。
そんなとき、1匹の蛾が現れます。そしてハエに向かってその無様な姿をバカにするのです。

Just then a moth flew by, and seeing him struggling there, said, "Oh, you foolish fly ! "
just then は、ちょうどそんな時に、ですね。1匹の蛾が、flewはflyの過去形です。fly by そばを飛ぶですね。struggle は自由になろうとしてもがく、あがく、じたばたする、です。himはハエのことですから、ハエがそこでもがいているのを見るとこう言った。という解釈になります。
"Oh, you foolish fly ! おー、バカなハエだね!と言うわけです。
Your appetite was too much for you.
appetite は食欲です。あなたの食欲はすごいよ、あなたにあるところの。というとおかしな日本語ですから、あなたの食欲はあなたにありすぎだよ。とでもしましょうか?これもまだあやしい日本語ですね。ようするに「おまえは食欲がありすぎたんだよ」ってことになりますか。または「おまえはいやしいんだよっ!」って、意訳してもいいんじゃないですか?
英語は楽しく訳しましょう。正解なんて考えないで、単語の意味から自由に発想しましょう。
The poor fly had nothing to say.
poor は形容詞で貧しいとか貧乏なという意味ですが、他の意味で哀れな、かわいそうな、気の毒なという限定の意味もあるので、このあとに続く言葉を加味すると、「かわいそうなハエは」とか「哀れなハエは」でいいと思います。
had nothing to say 言うべきことを何も持たなかった。ですね、意訳したら「なんにも言い返せなかった」ってことでも大丈夫です。
蜂蜜でハエの羽や脚がネトネトになってしまったのですから、言われても仕方ないとがっくりとしたことでしょう。
しかしやがて夜になり、ランプに火が灯る頃になると、その蛾はランプの明かりに誘われて、ランプに近づいていきます。炎のほうに近づくのです。そしてついに近づきすぎました。その炎の中に飛び込んでしまいました。焼けて死にました。
それを見ていたハエは言います。
Are you foolish too?
「おまえもバカだね」って。

You found fault with me for being too found of honey , yet all your wisdom did not keep you from playing with fire .
辞書を見ますと、foundはfindの過去形なのですが、ここはイデオムとして、英熟語として find fault with として「けちをつける」「非難する」「しつこく文句を言う」「アラ探しをする」などの意味があります。
「おまえは俺を避難した」「お前はオレを小馬鹿にした」って感じ。
for being too found of honey 「ハチミツをあまりにも好きであることに対して」となりますが、ここもイデオムfor being too found of 〜 で憶えるしかありません。「〜があまりにも好きであることに対して」「〜をあまり好きすぎると言って」などの意味です。
yet all your wisdom それにもかかわらず、おまえの全知識・・「それにしてもおまえの知識(これほど賢明な)の全部が」でよいでしょう。
did not keep you from playing with fire . 「保てなかった、火と遊ぶお前から」は「火と遊ぶおまえからその行動をしないようにさせられなかった」で「おまえは火と遊ぶことをやめられなかった」ぐらいまで意訳してもいいのではないでしょうか?
keep...from 〜ing は「・・・に〜させないようにしておく」というイデオムです。憶えましょう、60歳でも。
英語とは、時に日本語的な語りになじまないものです。
この英文をわかりやすく訳しますと、「おまえはハチミツに浸かったオレを小馬鹿にしたが、その賢い知恵をもっているおまえも火と遊んでいるうちに、その誘惑に負けてしまったじゃないか」でもいいんじゃないですか?
夏目漱石先生の英語学習のコツではないですが、わからなくても適当にわかるように理解したらいいですよ。
なんせ60代からの手習い英語学習ですから。

そして、この物語の最後に、こういった訓話が書かれています。
It is sometimes easier to see the faults of others than to detect our own.
直訳的には「それは時には簡単な、他人の欠点を見ることがのほうが、自分自身の欠点を見つけることよりも」で、「他人のアラはよく見えるが、自分の欠点はわからない」っといった教訓を表しています。
なかなか、イソップ寓話も読んでみるといいものでしょう?
またいっしょに学習しましょう。