
・障がい者の就労支援事業をやってみたいが、どうやったらいいのだろう?
・法人を立ち上げるって、どうするの?
これらの疑問にお答えします。
本稿の内容
■就労支援事業の立ち上げ方
■障害福祉サービスのこと
■開設のために行動す
障害福祉サービスのうち、障害者の就労支援事業の立ち上げについて、法人設立からの順序や、気をつけなければならないことが書かれています。
失敗のない起業となるでしょう。
■就労支援事業の立ち上げ方

障害福祉サービスを立ち上げるには、まずご自身の法人を持たなくてはなりません。個人商店ではできないしくみです。厳密には可能ではありますが、不利な条件がついてきます。
ですから、法人設立から始まります。
設立についての説明は、巷にある本で充分です。私の持つ現在の「一般社団法人 わだつみ福祉会」は、行政書士に頼みましたが、自分でも可能です。私が最初立ち上げた法人は「合資会社」でして、いろいろ調べて自分で定款をつくって法務局へ持って行きました。そこでアドバイスを受けて6回補正作業があって、なんとか法人化できました。
というわけで、行政書士に頼むとしても、定款は自分で作らねばならないでしょう。定款の作り方はネットでググればでてきますので、ご参照ください。
決めなければならないことは、①目的 要するに設立の目的ですよね。なんのために設立するのかがわるような説明が必要です。下の画像は私の運営する法人の定款です。ちょっと見にくいですが、「当法人は、地域社会の福祉の推進に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う」と、書いてます。

その、あなたがつくる法人がどんな事業を行うのかを書いています。やれそうなことはすべて書いておくと便利かと思います。あとで定款の変更となると面倒な手続きやお金が発生します。だから、5年先ならできるかな?みたいな事業でも書き込んでおくことが大切かと。
次に所在地の問題があります。
ようするに法人の所在地です。どこにするか。適当なテナントを見つけてテナントの契約をするのですが、その時点ではまだ法人が存在していないため、個人の自宅を会社の所在地にして置かなければなりません。
そのうえで、テナントを借りる行動に移ることになります。そして法人名義でテナントを借りることができました。
でももし、オーナーさんが「定款作って法人設立したら、契約者名の変更してあげますよ」と言ってくれたらば、まずは個人名でテナントを借りておいて、法人設立後に契約者の変更をすればいいですね。

私の失敗談ですが、借りたテナントが私の個人名でして、そのままで役所へ事業所設立(その時は介護事業所)申請にいったところ、「ダメ!」となりました。なぜだめだったのか。それはテナントを借りているのが個人だったからです。
法人がテナントを借りていないと事業ができないのです。
あらためて、法人で借り直して事なきを得ましたが、時間や手間がかかりました。
テナントを借りる前に、まず役所へ行って事前相談をする必要があります。テナントを借りる前に、不動産屋さんから図面をもらわねばなりませんでした。もらった図面に、必要な設備基準をあてはめていきます。
①訓練作業室 作業に支障のない広さが必要です。デイサービスのひとり3㎡必要とかはないですが、自治体によってはあるかもしれないので、確認が必要です。
②多目的室 その名の通り、多目的に使える部屋です。
③相談室 利用者の相談などを行いますが、多目的室と共用も可能です。
④事務室 PCやコピー機、書庫(鍵付き)、デスクなどが入ります。
⑤トイレ、洗面場 これもなんでもいいですが、身体障がい者のかたを想定しているならば、相応の広さと手すりが必要です。
あとは人員基準です。管理者兼サービス管理責任者が常勤で1人。それに職業指導員と生活支援員。どちらか1名は常勤ですね。
利用者10名でひとりの職員体制で行くか、利用者7.5人にひとりの職員体制で行くかで、基本給付金額がかわってきます。よく考えるところです。
次に各自治体のホームページにある申請書を作っていくだけです。
■障害福祉サービスのこと

障害福祉サービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえて、個別に支給決定が行われる「障害福祉サービス」と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる「地域生活支援事業」に大別されます。
これにより、かなり膨大な内容が盛り込まれています。
さらに「障害福祉サービス」は、介護の支援を受ける場合には「介護給付」、訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」という呼び名で分けられていて、それぞれに利用の際のプロセスが異なります。
サービスには期限のあるものと、期限のないものがありますが、有期限であっても、必要に応じて支給決定の更新(延長)は一定程度、可能となります。

上の画像は厚生労働省のホームページからの抜粋です。わかりにくいですが、サービスの種類がざっくりとわかります。
障害福祉サービスは介護保険サービスとともに人間同士の関わりをもちながら、ともに共生し、ともに暮らし、ともに喜び合う仕事だと思います。
もちろん生活のために、食べていくために必要な仕事ですし、それはお互いが必要としていることでもあります。
ですから、稼げるB型とか、A型とか、グループホームだとか、そんな宣伝や研修名目でのセミナーなどがあると、複雑な心境になります。国が保証する完全なビジネス!などと謳う広告もありました。でもね、甘くはないです。コロナ禍でバタバタ閉鎖もありますしね。
とにかく、福祉の世界でしっかりと人生を生かしたいと思うならば、わたしゃとてもいい制度の中で仕事ができるのではないかと思います。
■ 開設のために行動すること

まずはこの世界を知ることから始まります。まったくにシロウトで、オーナーとしてやることもあるでしょうが、それは資本のある起業がすることです。
この世界を知るには、地域の施設で仕事をすることです。B型施設を経営するならば、いろいろなB型施設がありますので、募集があれば応募して雇用されるのがいいです。
そしてこの世界で長く務めることをオススメします。この世界は長くいればそれなりの資格を有することが許されています。
生活介護事業や就労継続支援B型事業などに必置の資格があります。サービス管理責任者です。扱うのが児童の場合は児童発達支援管理責任者です。
令和2年から研修の見直しされました。以前は実務要件と相談支援従事者初任者研修講義の一部を受講(11.4時間)とサービス管理責任者等研修共通講義及び分野別演習の受講(19時間)を終了するとサビ管として配置されました。

これからは研修が基礎研修、実践研修、更新研修と分けられました。実践研修・更新研修の受講は一定の実務経験の要件が設定されました。分野を超えた連携を図るための共通基盤を構築する等の観点から、カリキュラムの統一がなされてます。
サビ管実務要件には一部緩和が認められ、以前は3年から5年でしたが、2年に満たない段階から基礎研修の受講が可能になってます。基礎研修・相談支援従事者初任者研修講義部分の一部を受講(11時間)とサビ管等統一研修として研修講義、演習を受講(17.5時間)。その後一部業務が可能でOJTできます。さらに新規創設のサービス管理責任者等実践研修(16.5時間)が終了すれば晴れてサビ管として配置されます。
あとは5年毎に更新研修があります。
この資格は日本全国で通用しますし、あなたの武器になります。それには長く務めることをオススメしてます。この世界は長く務めることで威力を発揮します。
国家資格として介護福祉士や精神保健福祉士、社会福祉士の資格をとることもふかのうではありません。
私は遅ればせながら53歳で社会福祉士を取りました。

ぜひとも、そんな行動を起こして、あなたの人生が充実していくことを願っています。
今日はここまでにします。